農業は労災事故多発産業です!
農業は事故発生率が全産業中ワースト1位なのに加え、死亡者数も高く推移しています。農業者の高齢化と作業の機械化が進み、事故が重大化しているのです。
上のグラフをご覧ください。ここから分かるように、1971年から50年近く経った現在も農作業事故による死亡者数は変わりません。他産業は確実に死亡者を減らし、危険業種といわれる建設業でさえ激減させているのに…。
この差は、他産業では事故は事業主の安全管理の問題として責任追及されるため、事故防止策が年々手厚くなるのに比べ、昔から家族経営が主であった農業では事故は個人の責任とされ、事故防止の仕組みが整っていないためです。
近年では国の米政策や新規就農対策の影響で、集落営農の法人化や農業の大規模化が進んでいます。しかし農業者の中には、法律で義務付けられた労災保険に加入していない方や、従業員5人未満だからと任意加入をしない方も見受けられます。そのため死亡事故が起こった場合には、法人や組織の代表者が億を超える損害賠償責任を負うことも否めません。もしも…の時にあなたは備えていますか?
労災保険で“安心”を備えましょう。
労災保険は安い保険料で手厚い補償が受けられます。病院での治療が無料で受けられ、休業中の補償はもちろん、療養が長引けば傷病補償、障害が残れば障害補償…と、一時的でないきめ細かな補償が特徴です。
農業者にとって農協のJA共済は、作業中だけでなく、プライベートでも大きな保障が得られる大切な保険です。しかし、雇用する労働者の事故や損害賠償責任の補償には限界があるため、農業者自身の保障と農業経営上の責任の両方に備える必要があります。そこでJA共済と労災保険を“車の両輪”として活用するのが望ましいと考えます。
農業労災事務センターは、農業者が安心して労働できるよう、福岡県内のJAと協力して設立されました。センター内の「農業労災倶楽部」では従業員の労災保険・雇用保険加入を支援し、自営農業者や法人役員のためには「特別加入制度」も準備しています。ぜひお気軽にご相談ください。
農業者のための労災保険は2種類。「もしも…」に備えて、あなたはどれを選びますか?
従業員に労災補償と福利厚生は必要だが、事業者である自分に労災補償は必要ない。 | 従業員に労災補償と福利厚生が必要で、事業者である自分にも労災補償が必要。 | 従業員はいないが、自分のための労災補償が必要。 |
①をお読みください | ①と②をお読みください | ②をお読みください |
①従業員のための労災保険
農事組合法人や株式会社などの法人にしている事業者と、常時5人以上の従業員を雇っている個人事業の農家は、政府が運営する労災保険と雇用保険に強制加入です。
従業員が常時5人未満の個人事業の農家には加入の義務はなく、任意加入となりますが、従業員の労災補償と福利厚生のためにぜひ加入しましょう。
②自営農業者のための労災保険
労災保険は本来、従業員のケガや病気・死亡などに対する補償です。自営農業者や法人役員である農業者に加入の義務はありませんが、特別加入制度を利用して任意加入することで、国からの労災補償を受けることができます。
- 特定農作業従事者
畜産・果樹・園芸農家向けの特別加入です。一定の経営規模以上の方が加入できます。
- 指定農業機械作業従事者
米・麦・大豆など土地利用型農業者向けの特別加入です。機械の指定がありますが、経営規模にかかわらず加入できます。